ついに巨人の連勝は5でストップ。
しかし劣勢の中、この男の一撃で一度はゲームを振り出しに戻した。
4番ファースト阿部慎之助。開幕から爆発し続ける巨人の主砲はこの日も強烈なアーチを放つ。
開幕6試合で4ホーマー。2004年、開幕から好調をキープし4月に当時の日本タイ記録に並ぶ月間16本塁打を記録した時とかぶるほどの活躍ぶり。
今シーズン阿部慎之助は一体何本のアーチをかけてくれるのだろうか?
キャッチャーを諦めた阿部慎之助
キャッチャーという激務
2004年4月から月間16本ものアーチをかけた阿部慎之助。一体今シーズン何本打つんだ?40本?50本どころか60本くらい打っちゃうんじゃねーか?
と期待させながらも結局1年終わるとホームランは33本に留まった。
4月に16本打ったのにトータル33本ということは、単純計算その後のシーズンは月間3本打つか打たないかくらいのペースに激減してしまった。
なんでそこまでペースダウンしてしまったのか?
間違いない。キャッチャーという激務が負担になったからに他ならない。
キャッチャーというポジションは、他のポジションとは比べ物にならない。仕事量がハンパ無いんだ。
サラリーマンで言えば、居酒屋チェーン店の店長みたいなものだ。
店が開いている限り休むことは出来ない。お昼はランチを対応し、夜はホールが足りなきゃホールに入り、洗い場が足りなきゃ洗い場をフォローする。
バイトが休めばその分カバーしなきゃならないし、バイトの面接やシフト作りなんかもしなきゃならない。
お店のレジを閉めて現金を計算し金庫に持っていく。夜は遅いし朝も早い。
一人で全部こなさなければいけない、スーパーブラックな会社の名ばかり管理職のようなポジションだ。
総務のあいつは毎日オフィスでデスクワークしてるだけなのに。作業員のあいつは現場で仕事だけしてりゃいいのに。なんでオレだけこんなに働かなきゃイケないんだ!
そんなポジション。よほどのドMじゃないと務まらない。
毎日毎日ワガママなピッチャーは俺のこの球をもっと活かすリードをしてくれ!とダダをこねたり。
フォークのサインを出せば、毎回毎回ワンバウンドを投げつけてキャッチャーの身体を痛めつけたり。
時には空振りしたバットで後頭部を狙ったり。ファールチップをぶつけてきたり。
内野にゴロが飛べばバックアップに走ったり。ランナーがいる時ヒットを打たれたりしたら、ホームベースをキッチリ守らなければイケなかったり。
やること大杉!こんなに働いてるのにさらにもっと打て!なんてどれだけ俺に期待するんだよ!そんなにイッパイ出来ねーよ!と愚痴りたくなるようなポジション。
そんなポジションを長年こなしながらも阿部慎之助は驚異的な成績を残し続けてきた。
でももう辞めた。もうアラフォーだよ。そんな激務には耐えられない。打つだけは打つからさぁ、もう楽なファーストに回してくれよ。
ようやくその思いが叶った時、阿部慎之助のバットはここまで火を吹いてくれるものだったのか。
もしもずっとファーストだったら
かつての原前監督は、阿部慎之助の打力を評価しファーストへのコンバートを提案した。
しかし阿部慎之助はキャッチャーにこだわった。キャッチャーでも満足行く結果が出せる。そう決意してキャッチャーにこだわり続けた。
もし阿部慎之助がずっとファーストだったら、今頃2000本安打まであと何本、400本塁打まであと何本なんてレベルでは無かっただろう。
2000本なんてあっという間にクリアし、今頃松井秀喜に続く500本塁打以上を記録していたかもしれない。
それほど阿部慎之助の打力は圧倒的で天才的。
でもそんな阿部がキャッチャーだったからこそ巨人は強かった。
今シーズン、キャッチャーという重責から外れ存分に羽根を伸ばしている慎之介は、開幕から猛烈な勢いで爆発している。
もちろん年齢は38歳。このままの調子が1年間続く訳がない。だがしかし期待せずにはいられない。
38歳という年齢で二冠王を獲得した2012年の記録を全て塗り替えてくれるんじゃないか?いや松井秀喜以来の50本塁打というとんでもない記録を残してくれるかもしれない。
巨人の4番には阿部がいる。力強い阿部慎之助が帰ってきた。
3番坂本、4番阿部。
かつての3番王、4番長嶋。
3番クロマティ、4番原。
3番高橋、4番松井。
3番小笠原、4番ラミレス。
伝説の3番4番とくらべても全く見劣りしない、究極のクリーンアップを1年間見ることが出来る。
何年続くかわからない。ただ今シーズンが最高に輝きになることだけは間違いないだろう。