由伸監督が選んだ巨人像は先行逃げ切りではない!終盤追撃型への変貌


巨人がエース菅野の完封劇で連敗脱出からの3連勝。昨年大地震で開催できなかった熊本シリーズで、被災にあったファンの方々に見事な贈り物を届けてくれた。

首位広島は好調に勝ち星を積み重ねているが、巨人も離れず食いつく事が出来ている。

今シーズンの由伸巨人が目指す方向性は、この10数試合で明らかに見えてきた。

由伸巨人が目指す形

大型補強を活かすには?

今現在巨人のスターティングメンバーはこれがスタンダード。

1番 中井 セカンド

2番 立岡 センター

3番 坂本 ショート

4番 阿部 ファースト

5番 マギー サード

6番 長野 ライト

7番 岡本or重信 レフト

8番 小林 キャッチャー

今シーズン由伸監督が最も悩んだのは、サードなはずだ。

昨年打率3割、ホームラン25本の村田修一がいるというのにマギーを補強した。

マギーの楽天時代の実績は確かに素晴らしいが、守備力も含めた総合力、安定感からすれば村田を使うべきという声は巨人ファンからも後を絶たない。

それでもあえてマギーを使う決断をした。

そしてもう一つの決断は7番レフトのチャレンジシート。

将来の大砲候補岡本和真、青い稲妻の後継者になって欲しい重信。この二人をなんとか育てたい。とはいえ巨人軍は育てて結果が出ないという訳にはいかない。勝ちながら育てなければならない。

このポジションも実績のある亀井を起用せず、我慢しながら重信・岡本を併用している。

なぜ由伸監督は、ここまでの大英断が出来たのか?

由伸監督は、長年巨人の定番と言われている先行逃げ切り型のチームからの脱却を図りたかったからなのではないだろうか?

昨年、ぶっち切りで優勝した広島カープに、いつもゲーム終盤面白いようにひっくり返された。安定したゲーム運びで着々とリードを広げているのに、最後のワンチャンスをモノにされ全てがふいになる。そんなゲームを何度も何度も繰り返していた。

一方巨人は、ゲーム終盤の勝負どころで勝負手を持っていない。相手に恐怖感を与えるような切り札的カードを1枚も持っていなかったのだ。

だから相手に余裕を与えてしまう。最初ちょっとくらい点を取られても残りのイニングでなんとかなるでしょ。そんな雰囲気を相手に与えていたらそりゃ勝てるものも勝てんわな。

だからこそ由伸監督は踏み切った。男村田と、かつての天才打者亀井をベンチに残し、ゲーム終盤いくらでもワンチャンスでひっくり返せるんだよ。という心のゆとり、チーム内のゆとりをあえて作ったんじゃないだろうか?

昨夜のゲームでは、勝負どころで代打村田がフォアボールを選び、さらに不調でスタメンを外れていた長野がしぶとく犠牲フライを打ち上げて貴重な1点をもぎ取った。

今年の巨人は先行逃げ切りだけじゃない。ゲーム終盤にジョーカー級のカードが何枚も出て来る。これは他球団にとっては相当な恐怖になるはずだ。

もちろん村田をスタメンで使いたい。好調な亀井もスタメンで使いたい。

だがその気持をぐっと抑えてゲーム終盤まで耐え続ける。

監督になり表情を変えることが少なくなった高橋由伸のポーカーフェイスは、カードゲームになればこれほど恐いものはない。

2年目となりカードの切り方を熟知し始めた若き闘将のタクトは、これからさらに冴え渡るはずだ。