巨人が連敗を脱出しなんとか2連勝を飾った。
連勝を支えたのは固め打ちの坂本勇人、勝負どころでしぶとい打撃を見せる阿部慎之助。
今巨人からこの二人が抜けたら恐らくほぼ毎試合完封される勢いだろう。
あれ巨人ってもう一人主砲がいなかったっけ?そうもう一本の柱長野久義が6番に控えているはずなのだが、まったくもって機能しない。
そしてそのままスタメン落ち。32歳の天才打者は、このまま終わってしまうのだろうか?
天才打者長野久義
2度のドラフト拒否
オレはハッキリ言って長野久義を好きになることは出来なかった。
日本大学時代、急激な成長を見せ当時北海道日本ハムから4位でドラフト指名を受けたが、巨人入団を希望し入団を拒否。本田技研に入社して、2年後のドラフトを待った。
巨人以外の球団から指名を受けた場合はプロ入りセず会社に残留を表明していたが、千葉ロッテマリーンズから2位指名を受ける。だがここでも入団を拒否。
その翌年長野はようやく巨人から1位指名を受けプロ入り。大学卒業後3年の社会人経験を経て入団したオールドルーキーはその時すでに25歳になっていた。
そこまでして巨人じゃなければダメだったのだろうか?
NPBに所属する球団に入るためにはドラフトという制度を利用しなければ入団することは出来ない。そして残念ながら今のドラフト制度では選手が入団したい球団を指名することは出来ない。
これはルールなんだからとやかく言っても仕方がない。どうしても行きたい球団に入団したいのであれば、プロ入り後大卒なら7シーズン実績を残すことができればFA権を獲得し好きな球団に移籍することが出来る。だからこそドラフトで指名され、プロに入団したい意思があるのならある程度結果は受け入れるべきだろう。
しかも1度ならず2度までも。2度もドラフト指名を拒否した長野を巨人は翌年ドラ1で指名。そんなダダをこねるような選手を本当に1位で指名すべきなんだろうか?25歳のルーキーが即戦力で1軍で活躍できるんだろうか?そこまでの飛び抜けた能力を長野は持っているのだろうか?
疑心暗鬼の目、入団をゴネた選手の将来性。いろんな事を考えると長野の巨人入団を無条件で喜べる気持ちにはとてもなれなかった。
だが、長野久義はそんなオッサンの思いを結果でねじ伏せてくれた。
開幕から1軍に定着し、打率288、ホームラン19本、そして新人王。
その翌年には巨人の日本人打者としては松井秀喜以来となる打撃三冠タイトルとなる首位打者を獲得してしまった。
アレックス・ラミレスも将来の巨人の四番打者は長野久義で決定だと太鼓判を推してくれるほどの実力を見せつけた。久しぶりに巨人に現れた右の大砲。これでしばらく巨人の四番は安泰だ!と誰もが長野に期待した。
だがここ2年、長野株はストップ安となるほど急激に下落している。
サカチョーコンビと呼ばれた相方の坂本勇人は、首位打者を獲得しWBCでも主力になるほどの急成長。
一方復活を帰した今シーズンの長野はオープン戦から絶不調。そのままの状態でシーズンイン。そして打率156、ホームランももちろんゼロ、打点もゼロ。
もはやスランプ、不調の域を飛び越え、衰えてしまったんじゃないか?という懸念を拭い去る事が出来ない。
32歳だろ。まだまだ衰えるような年齢じゃないよ。と思うかもしれないがそんな事はない。
かつて横浜ベイスターズで二度の首位打者に輝きマシンガン打線の中心にいた鈴木尚典が、2004年急遽成績を落とし、結局そのまま好調時の打撃を取り戻すこと無く引退してしまった事があった。
当時の鈴木尚典も32歳という年齢、衰えを指摘するような年ではないと言われていたが、鈴木尚典は最後まで復活することは出来なかった。
天才の輝きは一瞬。流れ星のように儚く消えてしまう。長野久義の輝きはわずか数年、線香花火のように短い光で終わってしまうのだろうか?
今巨人に必要なのは坂本、阿部を支えるもう一本の柱。下位打線に厚みを持たせたWエンジン打線。その柱になれるのは長野久義しかいない。長野久義が機能しなければ、7番の岡本・重信のお試し打順も使えなくなってしまう。長野久義の責任はそれほど重い位置にある。
衰え?そんな言葉はまだ聞きたくない。ただリズムが崩れているだけそう思いたい。
今はただ、あの天才的右打ちを見せる強打者長野久義がもう一度輝いてくれる姿を根気強く待っていたい。