巨人のスイープを阻んだ、広島のサヨナラ逆転劇。
この歴史的ルーズベルトゲームの演出をしたのは、マッスルクローザー澤村拓一。
ボヤキのノムさんこと野村克也氏が澤村は巨人のストッパーには不向きなのでは?というコメントをしていたが、澤村を配置転換すべきなのだろうか?
マッスルクローザー
澤村がクローザーになるまで
阿部慎之助や亀井の中央大学の後輩としてドラフトの目玉になっていた澤村を巨人が単独一本釣りに成功。
キャンプ、オープン戦から話題を呼び、もちろん即戦力として期待されていた。
1年目はその期待に応え11勝11敗、防御率2.03で新人王に輝いた。
翌年も二桁勝利を上げ10勝10敗。
ん?澤村の勝率っていつも5割。
そうなのだ澤村は先発として一度も年間を通して貯金を作れていない珍しい投手なのだ。
そして球は速いが制球力にかける澤村は、変化球でストライクが取れず苦し紛れのストレートを痛打されるというケースが増え、徐々に精彩を欠いていく。
この姿に見切りをつけ当時の原監督が先発からの配置転換を敢行。
これが大成功。昨年は60試合に登板し36セーブ、防御率1.32という好成績を収めた。
澤村にはクローザーしかないのでは?というほど天職にありついたようにも見える。
それでも澤村はクローザー失格なのか?
筋肉と投手
澤村といえば真っ先に想像されるのが筋肉。
ダルビッシュと一緒にトレーニングしている姿は、澤村イコール筋肉というイメージを強めていった。
鍛えて身体を大きくし、その成果を確実に結果として出していくダルビッシュ。
一方の澤村は、筋肉をつければつけるほど安定感を欠き、トレーニングを控えろ!と言われてしまうキャラになってしまった。
そう悲しきキン肉マン。
んがしかし、澤村はクローザーという場を見つけ、そこで筋肉の有効性をようやくアピールすることが出来ている。
筋肉を鍛えている人は瞬発力はあるが、持久力にかける傾向がある。
そうなんだ澤村はマラソンランナーではなく、100メートルを走る短距離ランナーなのだ。
なのでクローザー失格ではなく、今のところクローザーしか出来ないのさ。
いやクローザーじゃなくてセットアッパーに転向させれば?という意見も確かにある。
んがしかし、クローザー転向後の澤村の安定感はバツグンだ。
1点差のゲームではちょくちょくやらかしてしまうが、2点差以上あるゲームを壊したケースは非常に少ない。
確かに一番大事なゲームでやらかしてしまったのは痛すぎる。
シーズン終了後もし最後の一歩届かなかったとしたら、このゲームがポイントになる事だろう。
だが1試合失敗したくらいで失格の烙印を押してはいけない。
クローザーとは一度の失敗が大きく叩かれる悲しき職業。
ここまで安定感抜群の働きを見せてきた澤村を一度の失敗で攻め落とすよりも、さらなる大舞台での発奮を期待しよう。
奇跡の逆転優勝をするためには、マッスルクローザー澤村の姿を外すことは出来ない。