【巨人】2020年最大の収穫は半沢直樹ではなく吉川尚輝


2020年、コロナ過で揺れるテレビ業界に、あのモンスタードラマが7年ぶりに返ってきた。

「やられたらやり返す・・・倍返しだ!」

長いブランクを経て復活した半沢直樹は、中年世代の鬱屈した心を鷲掴みにし、平均視聴率はこのご時世では驚異の30%超えを達成。

半沢直樹は、ステイホームでくすぶるオジサンたちのヒーローとなった。

しかし、2020年巨人には半沢以上に価値のあるもう一人の「ナオキ」が躍動した。

みんなが待ち焦がれた吉川尚輝だ。

吉川尚輝という存在

巨人のセカンドと言えば?

巨人のセカンドと言えば?

やっぱり篠塚だよなぁ。

華麗な守備と広角に打ち分ける天才的なバッティング。

篠塚がショートの頭を超えるレフト前ヒットを放つと、アナウンサーは必ず「篠塚らしいバッティング」って実況してたよなぁ・・・

いやいや、やっぱり仁志だろ!

カウントやバッターのクセ、キャッチャーのサインから守備位置を巧みに変え、「なんでこんなところ守ってるの?」と野球ファンを絶句させた玄人好みのプレイヤー。

確かに仁志がセカンドに定着していた時は安心感があったよなぁ・・・

 

そんな仁志が巨人をさった2006以降、10年以上巨人は大事なセンターラインの核となるセカンドの定位置を固定することが出来ていない

 

高校生ドラフト1位の藤村も、FAで西武から獲得した片岡も、ロッテから獲得した名手クルーズも・・・

帯に短しタスキに長し。

ショートを守る坂本勇人が30歳を超えて未だに独身な理由は、長らく二遊間の相方が固定できないことも少なからず影響しているはずだ。

チャンスを掴みかけた現DeNAの中井も、昨年ビッグチャンスを逃した若林もレギュラーに定着できなかったのは、貢献者の仁志を放出した呪いだ!と言われるほど巨人のセカンドは深刻な問題だった。

2016年のドラフト

2016年のドラフト。

この年は、創価大学の田中正義と桜美林大学の佐々木千隼が注目を集めていた。

近年、競合を避ける「逃げのドラフト」と揶揄される指名をしていた巨人は、この年果敢に田中正義の抽選に参入した。

しかし、ここで予想できなかった事態に陥る。

大本命の田中正義には巨人・ソフトバンク・ロッテ・広島・日本ハムの5球団が競合したにも関わらず、一方の桜美林大学の佐々木はどの球団からも指名されなかった

くじ引きにはめっぽう弱い巨人は、早々にハズレくじを引き当て、ハズレ1位で佐々木を指名した。

当然ながら田中を外した球団はすべて佐々木に流れ込み、柳を外したDeNAまで参入してきた。

ハズレ1位なのに5球団競合という前代未聞の失敗ドラフトw

しかし、ここでも巨人はくじ引きなんて当たる気配もなく惨敗。

もうくじ引きは諦めたぁ・・・・と半ば投げやり感が否めない状況で指名したのが中京学院大学の吉川尚輝だったのだ。

投手の即戦力から外れたから野手に変更するというドラフト戦略としてどうなんだ?

と首を傾げたくなるドラフト劇だったが、結論としてポッカリ空いているセカンドに吉川尚輝は最適なんじゃないか?

ドラフトのハズレにスッカリ慣れきっている巨人ファンは、ニューヒーロー吉川尚輝の躍動に胸を躍らせることとなった。

ガラスの天才吉川尚輝

とはいえ、プロ入り後、吉川尚は順風満帆だったわけではない。

入団早々故障を発症し、1年目は即戦力ルーキーの期待を見事に裏切った。

2年目、ようやく才能が開花し始め、来年こそセカンドは吉川尚で定着できる!

はずだったのに・・・

2019年シーズン、開幕から怒涛の勢いでヒットを積み重ねていた吉川尚にふいに訪れた魔女の一撃

腰痛を発症した吉川尚輝は、そのまま2軍降格となり、その後1軍の舞台に戻ってくることはなかった。

長いリハビリを経て、長い自粛期間を経て、吉川尚輝は再び巨人のセカンドの定位置に戻ってきた。

6月までずれ込んだプロ野球の開幕戦。

無観客で開催された開幕カードは、巨人のエース菅野と阪神のエース西がガップリ4つに組み合う緊迫の投手戦。

1点ビハインドで迎えた7回裏。

阪神の分厚いリリーフ陣の一端を担う岩崎の難しいインコースを吉川尚輝の曲打ちが撃破した。

そこから巨人は波に乗り阪神をスイープ。

エース菅野も逆転価値で勝利を挙げ、なんとそこから13連続勝利という偉大ない記録の達成となった。

あの吉川尚輝の劇的な逆転2ランがなかったら、巨人はここまでシーズンを独走できなかったのではなかろうか。

もう間違いない!ケガさえなければ巨人のセカンドは吉川尚輝で決まりだ!!

と巨人ファンに期待をさせながら、それでもレギュラーを掴み取らない思わせぶりなダダっ子のナオキ。

1番の役目を全うできず、時には北村や増田にスタメンの座を奪われ、吉川君ならぬ悪川君なんて悪名も拝命された。

それでもナオキはめげなかった。与えられたチャンスの中、下位打線で地道に結果を残し続けた。

そして長い長い熟成期間を経て、ようやくシーズン終盤吉川尚輝はセカンドの定位置を勝ち取った

今度こそ定位置獲得でいいんだよね?

向こう10年は、最低限セカンドとサードの定位置は心配しないでいいんだよな?ナオキ!!

 

10月に入り失速気味のジャイアンツだが、優勝はもう目前に迫っている。

セカンドの穴も埋まり、課題だった中継ぎも整備され、ちょっとだけ打てるキャッチャーも育て上げ、見事チームの育成を図りながら勝てるチームへと変貌しているジャイアンツ。

チームは熟成度を増しながら激動の2020年を終えようとしている。