侍ジャパンの正捕手の座に、第三の捕手からちゃっかりと座ってしまった男がいる。
巨人の若き正捕手候補、小林誠司だ。
小林誠司はこのままWBCで正捕手のポジションを守り抜き、巨人でも不動の捕手に定着することが出来るのだろうか?
小林誠司の覚醒は本物か?
比較対象の苦しみ
昨シーズン、12球団でただ一人規定打席に達したキャッチャーだが、世間の評価はいまいちパッとしない。
肩が強いのは認めるが、打率は204。長打力もない。リードもイマイチでキャッチングは全然ダメ。
さらに集中力に欠けたプレイが目立ち、要所で凡ミスを繰り返す。
か細い身体のイケメンはなぜにここまでdisられ続けるのか?
そりゃ仕方ない。比較対象があの阿部慎之助なんだから。
超大型捕手として当時はまだ逆指名の合った時代、ドラフト1位で巨人に入団。
プロ入り1年目から1軍のレギュラーキャッチャーに定着し、打撃でも13本のホームランを放った。
その後数年は、松井秀喜、高橋由伸、ラミレス、小笠原道大という主砲の陰に隠れてはいたが、主力級が抜けてからはキャッチャーでありながらクリーンアップ。
まさに巨人の顔としてチームを引っ張ってきた。
そんな偉大なる男の後継者となれば、自然と評価は厳し目になる。
爽やかなイケメンでまずまずの結果を残しているのにdisられる。
そう若大将原辰徳と奇しくも同じ苦しみを味わっているのが小林誠司。
原辰徳も王、長嶋の後継者として過剰なる期待を受け、チャンスに弱いだの、ビッグゲームに弱いだの、散々disられ続けてきた。
そんな巨人ならではの批判を一手に小林誠司は請け負っている。
だが小林誠司が、ここに来て覚醒の予感を見せている。
第三の捕手として呼ばれたはずだったのに、正捕手候補の嶋が故障で離脱、大野が強化試合で走られまくる。
そんな間隙を縫って一気に侍ジャパンの正捕手という極みまで辿り着いてしまった。
しかも期待されている守備面だけでなく、打撃面でも大活躍。
これはこのままの勢いで小林誠司は、巨人軍の扇の要にどっかと居座り続ける存在になってくれるのだろうか?
時に世界大会は選手を一気に覚醒させる。
あのヤッターマン中畑清も日米野球で放ったホームランにより1軍切符を勝ち取った。
現楽天イーグルスの松井稼頭央も日米野球で衝撃的な活躍を見せ、メジャーリーグにまでたどり着いた。
WBCのプレッシャーはとてつもない。
開幕投手を任されたロッテの石川歩は、登板前トイレで吐き気が出るほどの緊張感だったそうだ。
そんな世界の舞台、日本中から見つめられる正捕手というポジションは間違いなく、ひ弱だったイケメンを覚醒させてくれるはずだ。
小林誠司がWBCから帰ってくるまでに、巨人控えのキャッチャー陣は尋常ではないアピールをしておかないと、到底越えられない大巨人になって戻ってくるかもしれない。