新型コロナウイルスの影響で、2か月も開幕が遅れたNPBも、秋が深まりようやく終焉が見え始めてきた。
この時期になると世間をザワつかせるのがストーブリーグ(死後か?w)
2020年シーズンオフは、昨年のFA市場とは大きく景色が変わり、各球団の大物がFA権を獲得しその動向に注目が集まっている。
粒ぞろいのFA獲得選手の中でも目玉中の目玉は、何といってもヤクルトの山田哲人。
もし山田哲人がFA宣言したとき、巨人は山田の獲得に動くべきなのだろうか?
もし山田哲人がFA宣言したら
山田哲人という真のネ申
山田哲人、惚れ惚れするほど物スゴイ選手なのは、もはや野球ファンなら周知の事実だ。
まだ28歳という若さなのに一度でも難しい記録トリプルスリーを3度も達成。
2015年には本塁打王、盗塁王、最高出塁率など数々のタイトルを獲得し、チームを前年最下位から一気に優勝まで導いてしまった。
まさに乳酸菌シロタ株を体内に宿した、ヤクルトに現れた正真正銘のネ申なのである。
この男が2010年のドラフトでは外れ外れの1位だったとは、どんだけ他の球団は見る目がなかったのか。
(ちなみにこの年ヤクルトがいの一番に指名したのは、あのハンカチ王子だったことはもはや忘れることにしようと思う。)
高卒からものの3年で1軍に定着し、4年目にはアッサリと覚醒してしまう。
打つだけでなく、誰よりも走ることができて、さらに難易度の高いセカンドを守ることができる。
ヤクルトにとって欠かすコトのできない宝石のようにキラキラ輝くプレイヤーだ。
少し気になるコト
ただ、そんなヤクルトのネ申山田哲人だが、昨年から一時の輝きが色あせている感があるのは否めない。
昨年は、本塁打35、盗塁33と文句のない成績を残したが、首位打者を争うほど簡単に3割をクリアしていた打率が271まで凹んでしまった。
もちろん打率だけイマイチだっただけで全く文句のない成績なのだが、今年は体調不良なのか?故障なのか?
10月20日時点で出場試合数は82試合、打率、本塁打、盗塁も数年前の山田哲人と比較できないほどの低空飛行となってしまっている。
2年続けて最下位を爆走するチーム状況にモチベーションを維持できないのかどうかはわからないが、まだ28歳と元気ビンビンな年齢なのに今シーズンの欠場の多さは多少なりとも気になってしまう。
巨人に山田哲人は必要なのか?
若くして数々の偉大な実績を積み上げてきた山田哲人。
果たして、今の巨人にとって山田哲人という存在は必要なのだろうか?
長年巨人の課題となっていたセカンド固定できない問題は、ようやく今年解決の兆しが見えてきた。
2016年、中京学院大学からドラ1で入団した吉川尚輝が、2020年長らく空位となっていたセカンドのレギュラーの座をようやくモノにした。
篠塚、仁志依頼定位置を固定できなかったセカンドに、キラキラ輝く若き天才がついに定着してくれたのだ。
YouTubeにおそらく三塁側のエキサイトシートから撮影したと思われる、サード岡本、ショート坂本、セカンド吉川の守備のシーンの動画がアップされていたが、3人が投球と同時に腰を落として沈み込む姿に、思わずウットリと見とれてしまった。
多くの巨人ファンは、この二游三の姿を昨年から待ち続けていたはずだ。
そしてその願いが今年ようやく叶ったのだ。
可能ならばこの二游三を何年も見続けていたい。
もし、ここで山田哲人を獲得してしまうと、せっかく育て上げた金の卵吉川尚のポジションが奪われてしまう。
それはさすがに容認することは出来ない。
となると山田哲人は今の巨人に不要なのだろうか?
いや、ちょっと待て。
2020年順調に培養が成功した巨人内野陣に大きな課題は存在する。
それはキャプテン坂本の加齢だ。
長年巨人のショートを守り続けてきたスーパーキャプテン坂本も今年32歳になる。
長年重労働のショートを守り続けた疲労が蓄積しているのか、今年は欠場する機会も増えている。
おそらく身体のあちこちが悲鳴を上げているのだろう。
坂本の寿命を延ばすためには、そう遠くない将来坂本をショートからコンバートする必要がある事実には目を背けることはできない。
坂本をサードにコンバートするのか?
岡本の守備力を買ってファーストにコンバートするのか?
いずれにしろ、坂本がショートから離れた場合、本来ショートが本職の吉川尚がセカンドからコンバートされるため、また一度は固定されたはずのセカンドが空位になることになる。
そんな近未来のオプションを考えるのならば、セカンド山田哲人は最高のピースとして巨人のパズルにはまることは容易に想像できるのだ。
- ファースト岡本、セカンド山田、サード坂本、ショート吉川
- ファースト坂本、セカンド山田、サード岡本、ショート吉川
- ファースト山田、セカンド吉川、サード岡本、ショート坂本
こんなラインナップを想像しただけで、今からヨダレが止まらないのはオレだけではないだろう。
育成の巨人
しかし、巨人はここ数年広島カープにボコボコに叩きのめされた過去を経て、本格的に育成の巨人へと舵を切り出した。
育成ドラフトから3軍制度。
海外からも有望な選手を積極的に育成枠で獲得し、鍛えて、学ばせて、切磋琢磨させながら1軍へと導いていく。
今シーズンその取り組みが実り始め、メルセデス、増田、松原、田中豊、モタ、ウレーニャ、沼田、堀岡と育成出身のプレイヤーが続々と1軍の舞台で活躍している。
この状況でFAの大物を獲得してしまうと、上を夢見る若者たちの希望を失いかねないのは過去の経験からも明らかだ。
もし山田を獲得することができたら、数年は巨人の内野手に付け込む隙などない。
となれば、せっかく火が付いた育成の炎がくすぶっていってしまうかもしれない。
だが、原監督は「FAしたら参加するのがジャイアンツ。そうでないとFA制度がダメになってしまう。」とも公言している。
FAと育成を上手く融合させながら新陳代謝を活発化させていくのが原巨人の狙いなのかもしれない。
なんだかんだ御託を並べたが、山田哲人がFA宣言したら巨人は間違いなく獲得争いに参戦するはずだ。
結論:巨人は山田哲人を獲得すべきなのか?
オレは数年前、山田哲人という選手に心から嫉妬していた。
高卒であれだけの輝きを放つ選手を育成したヤクルトという球団が心底羨ましかった。
そんな山田哲人をもし巨人が獲得できたのであれば、究極の幸福感を味わえることは間違いないはずだ。
だが、なぜなんだろう・・・・
心のどこかに山田哲人の獲得を手放しで喜べない自分がいる。
- 山田哲人がヤクルトスワローズのアイコンだからなのだろうか?
- これまで巨人にやってきた大物FA選手の苦悩を知っているからなのだろうか?
- 育成ムードに歯止めがかかるからなのだろうか?
いやどれも違う。
山田哲人には、狭い日本を飛び出してMLBという大舞台で輝きを放って欲しいからだ!
今までMLBに挑戦した日本人内野手は、みな結果を出せずに辛酸をなめている。
MLBでは日本人内野手は通用しない。
そんな負の流れに歯止めをかけることができるのは、神宮のネ申山田哲人しかいないんじゃないだろうか?
来年、コロナウイルスの状況次第でMLBがどうなってしまうのか?現時点では想像すらできないが、山田哲人は間違いなくMLBでも結果を出すことができるはず。
だからこそ山田哲人にはMLBという選択肢を最優先に置いて欲しい。
2020年シーズンオフ、山田哲人がどんな結論を出すのか?
固唾を飲んで見守ろう。