待っていた。巨人ファンは気味の姿を待っていたんだよ。
長い沈黙を破りようやくベールを脱いだFA移籍の目玉山口俊。
交流戦で全く勝てなかったソフトバンク相手に6回無安打と見事なまでのピッチング。
そこからマシソン、カミネロと繋ぎ継投でのノーヒットノーラン達成。華々しい巨人デビューとなったが、その裏は地獄の日々だった。
山口俊の苦悩
FAの重圧
30億円補強、FAで3人総取り。クレクレ厨巨人がまさに本領を発揮した2017年シーズン。
その最大の目玉となったのは、横浜DeNAから移籍の山口俊と北海道日本ハムファイターズから移籍の陽岱鋼。
共にローテーションの柱とセンターラインの柱を期待された二人。
だが杞憂な運命なのか、二人ともキャンプインと同時にコンディション不良という名の故障を発症し、2軍どころか3軍での調整を余儀なくされた。
WBCの祭りが終わり、日本プロ野球がシーズンインを迎えると、我らが巨人はFA移籍組の力なんて感じさせないほどの好スタートを切った。
だが徐々に雲行きが怪しくなっていく。快晴だった空があっという間に黒くなり、にわか雨どころか衝撃のゲリラ豪雨が巨人軍に降りかかる。
広島カープにボッコボコに打ちのめされて迎えたクライマックスシリーズ。目下パ・リーグ首位をひた走る楽天イーグルスにどエース菅野までボコボコにされる。
そしてそこから崖を崩れ落ちるように連敗を重ね、気がついたら球団史上ワーストを塗り替える13連敗。
シビレを切らした読売は幹部は、責任の所在を追求し始めた。
ここまで負けるのは誰が悪いんだ?適正な補強をしなかったフロントか?チームの将来性を全く見てなかったドラフト戦略なのか?監督の采配なのか?コーチ陣の無能さなのか?
旧体制で老害極まりない読売幹部は、まずは球団運営の責任者堤GMを解任した。
しかし責任を感じていたのは堤GMだけではない。もちろん最も責任を強く感じているのは高橋由伸監督だろう。
だがさらに大きな責任感を背中に背負いながら、黙々とリハビリの日々を続けていた男達がいた。
陽岱鋼と山口俊。
期待されて入団しながら戦力になれないどころ、1軍に帯同することすら出来ない。開幕から約2ヶ月歯痒い日々を送っていたのだろう。
巨人移籍後初勝利を上げた山口俊は、ヒーローインタビューの場で人目もはばからず大粒の涙を流した。
苦しかった。辛かった。情けなかった。そんな思いが交錯したはずだ。
そりゃそうだ。もしDeNAに在籍したままなら開幕に出遅れたところで誰一人取材に来ることは無いだろう(ちと言い過ぎw)。
ちょっと右肩の調子悪いんで、ちと開幕間に合わないけどいいっすか?なんてチャラい行動は常勝を宿命付けられた巨人軍のさらにFA移籍組ともなれば絶対に許されない。
巨人って何?この重圧何?やべー、、、やっぱFAなんてしなきゃよかった。。。後悔していたのかもしれない。
でもようやく一仕事することが出来た。ようやく戦力になることが出来た。ようやく重圧からほんの少し解消された。そりゃ涙が止まらない。
男は女の涙に弱いもの。女は泣いたら全部許される。なんて都合のいい生き物なんだ。
ドスコイ山口は女じゃないし、決してカワイイキャラでもない。でも昨日のお立ち台の涙は純粋な野球少年が流すような涙だった。
あの涙で一旦水に流そうぜ。開幕からの事は無かったことにしてやるよ!
だからこれからローテーションの柱で活躍してくれよ!ここから一気に巻き返そうぜ!