巨人のフロントが慌ただしくなった。
極度の不振を受け、チームの編成の責任者堤GMをシーズン半ばの6月という段階で電撃解任。
FAで獲得した3人がまさかの大不振、外国人は枠の問題で使い切れない。ドラフト1位の吉川もケガで離脱。トレードで交換した大田、公文は活躍し、かつてプロ入り3年で戦力外通告を出した村田にまで勝ち星を献上するなど、まさに踏んだり蹴ったり状態の巨人軍。
そんな困った時、苦しい時、大変な時に後任のGMを任された鹿取義隆氏。いつもこんな役割ばかり回ってくるのが氏の星回りなんだろうか。
鹿取の課題
現役時代
今の若い世代はもう鹿取氏の現役時代を知らないのかもしれない。
華麗なフォームという訳でもなく、ダイナミックなフォームという訳でもない。言っちゃ悪いが地味なサイドスローの投手。それが鹿取義隆。
これと言った変化球がある訳でもない。快速球がある訳でもない。言っちゃ悪いがパッと見普通の投手。それが鹿取義隆w
しかし、鹿取の1番の魅力は、その特徴の無さだった。
抑えの切り札的絶対感は無いが、大崩れせずなんとなくその場を凌いでくれる。
普段はリリーフとして待機しているが、先発ローテーションが谷間の時など先発に回ることもある。
先発に何かしらアクシデントが発生したらロングリリーフもこなしてくれる。なんとも使いやすい、使い減りしない投手だった。
どれだけ使いやすかったのか?この数字がモノを言っている。
1986年、主にリリーフとして59試合に登板し、4勝3敗4セーブ、防御率2.32という素晴らしい成績を残した。そしてその年の総イニング数は101。
現役のレジェンドセットアッパー山口鉄矢のキャリアハイは優勝した2012年。この年山口鉄矢は72試合に登板し44ホールドで防御率0.84と圧倒的数字を残したが、イニング数は75。
70試合投げた山口鉄矢よりも長いイニングを投げた鹿取。どれだけ便利に使われていたのかがよくわかるだろう。
鹿取に与えられたモノ
そんな困った時の便利屋鹿取は、またしても大きな役割をぶん投げられる事になった。
30億円とも呼ばれる大型補強を敢行したにも関わらず、球団史上ワーストの13連敗という記録まで作り現在セ・リーグ5位。交流戦でも11位。最下位のヤクルトが巨人を上回る大不振のため最下位は免れているが、近年見たことのない最弱状態。
最も深刻なのが若手の底上げ。
シーズン前期待していた岡本、吉川、重信、桜井あたりは皆伸び悩み、坂本以外20代の若手がレギュラーを奪えない状況になっている。
若手の野手は1~2で容易く育つもんじゃない。育成を重視して育てて育てて強いチームに仕上げた広島カープは、優勝するまで25年もの歳月を費やした。
育成なのか?補強なのか?いずれにしろ今のままでは巨人の弱体化の流れを止めることは出来ない。
しかもNPBのGM、特に閉鎖的な読売のGMは、メジャーリーグのGMのような特権を持っているわけではない。なのに責任だけは取らされる。
なんともヒデー役割を押し付けられたもんだ。
でも鹿取なら何とかしてくれるんじゃないか?淡々と役目を全うしてくれるんじゃないか?そんな期待感を持たせてくれる不思議な人材だ。
鹿取氏は巨人軍にどんな未来を描いているのか?いずれにしろ、しばらく我慢の時期は続くのかもしれない。