こどもの日の巨人vs中日の初戦は、小林誠司のセーフティスクイズで文字通り1点を搾り取って巨人が勝利を納めた。
そんな小林誠司の打撃成績は、現時点で打率151。打点は4。ホームランはもちろんゼロ。
1割台のお友達だったヤクルト山田哲人も阪神梅野も2割台の大台に乗ってしまい、ついにセ・リーグ1割台は小林誠司一人ぼっちになってしまった。
WBCで4割5分の打率を残し、侍ジャパンのトップになったはずの打撃は完全に息を潜めてしまっているが、本当の小林の姿は実はこんなもんじゃなかったのだ。
小林誠司の打撃
どっちが本物?
WBC参加組でなかなか調子の出ないのが筒香嘉智、山田哲人、中田翔、そして小林誠司。
筒香嘉智は4月になかなかホームランが出ず心配されていたが、ようやく本拠地でも筒香らしいアーチを描いた。ふと気がつけばセ・リーグのホームランキング争いのトップはチームメイトの梶谷と広島エルドレッドの6本。まだまだ4本差。筒香の能力からすればあっという間に追いつける差。結局シーズン終わってみれば、今年もホームランキングは筒香の落ち着くかもしれない。
2年連続トリプルスリーの山田哲人も打率1割台と苦しんでいたが、元々春先は得意じゃない。徐々にポイントを修正し、こちらもあっという間に成績を上げていくはずだ。
中田翔は故障もありまだ本来の力は見せられていないが、必ず巻き返してくれるはず。てか打ち出してくれないと低迷している日本ハムはもっと苦しくなるだろう。
で、大トリは小林誠司。
WBCで覚醒したはずだった小林だが、前述した通り打率はセ・リーグでただ一人1割台。シーズン開幕から1ヶ月が過ぎたが未だに浮上のキッカケすら掴めていない。
世間からはこれが本来の姿。WBCではラッキーなヒットもあったし、勝負どころで打ったわけでもない。オランダや中国といった格下の投手からしか打っていない。などなど相変わらずのdisられキャラはもはや定番化しつつある。
確かに小林誠司は、阿部慎之助ではない。古田敦也でもない。城島健司でもない。バリバリ打てるタイプのキャッチャーではない事は誰もが知っている。
だけどWBCという大舞台であれだけの活躍を見せた。グアムで阿部慎之助の元、修行を積んできた成果が出始めている。今年は204というセ・リーグダントツ最下位の打撃成績に終わった昨年を大幅に上回ってくれることだけは間違いない。誰もが期待していたはずなのに、昨年を上回るどころか大きく下回る体たらく。。
やっぱりこれが小林誠司の本当の姿なんだろうか?
いや違う。実は今の小林誠司の成績は、若き闘将高橋由伸監督が緻密な計算の元に指示された仮の姿なのかもしれない。
小林の真の姿
5月3日の対DeNA戦。その場面はやって来た。
1点を先制された巨人の攻撃は2回裏2アウト2、3塁。打席には8番キャッチャー小林。
ここまで小林の打率は1割台。打点もわずかに1。
とはいえ、次のバッターは9番投手の大竹。
序盤とは言え、通常なら1塁が空いている状況。8番バッターを歩かせて投手と勝負するというのがセオリーだろう。
しかしDeNAバッテリーは、小林誠司との勝負を選んだ。
小林を打ち取れば、次の回は投手から始まる打線になる。確実にワンアウトを計算できる状況に持っていければ、相手の流れを寸断できる。しかも小林の打率は1割台。10回打席に入って1回しか打てないような打者。ここはむしろ小林勝負がセオリーなのかもしれない。
だが結果は裏目に出た。アンパイと思われた小林の執念のバットが打球を野手の間に落としたのだ。見事巨人は逆転に成功。そのまま得点を積み重ねDeNAを寄せ付けなかった。
2アウトランナー2、3塁。この手のシーンで勝負されるバッターはセ・リーグで小林誠司ただ一人。
だが実はこのシーンのためだけに、由伸監督は小林誠司に無理して打つな!と指示していたのかもしれない。
小林誠司は、阿部慎之助や古田敦也のように打撃タイトルを争うような打撃を見せることは出来ない。
だがWBCで見せたように勝負どころで食らいつく執念の打撃だけは、阿部も古田も寄せ付けない特殊な能力を持っているのだ。
小林誠司は決して無駄打ちしない。小林の打率1割は、ギュウギュウに濃縮した濃いぃぃ味のヒットしか含まれていないのだ。
10回のうち9回は対戦相手を油断させるための撒き餌でしかない。小林誠司は試合を決めるシーズンを決める勝負どころだけに究極の集中力を研ぎ澄ませ、そのシーンが来るまでじっと刃を研ぎ続けているのだ。