北海道日本ハムファイターズ大田泰示がプロ9年目で初のサヨナラタイムリーを放った。
期待されて移籍した今季、ようやく大田の名前がニュースで取り上げられた。
未完の大器がようやく目覚めた?ついに9年の時を経て覚醒か?
いつまでも騒がれ続ける大田泰示に求められていた事とは?
大田泰示の苦悩
ヘッドスライディングじゃない
プロ野球人生初のサヨナラタイムリー。これでようやく覚醒か?
ってまだ1本打っただけ。しかもチームがお膳立てしてくれた中で、最後チョコンと美味しいところを決めた、サッカーで言えばごっつぁんゴール。そんな1本でも覚醒なんて言葉を投げかけられる。つくづく大田泰示が背負っているもの、背負ってきたものの大きさを感じてしまう。
大田泰示の現在の成績は、出場7試合で打率185、ホームラン1本、打点は3。
比べるのは気の毒だが、大田泰示と2対2の交換トレードで巨人にやって来たダイナマイトシンゴこと石川慎吾は21試合出場で打率264、ホームラン1本、打点は4。
石川慎吾が圧倒的な数字を残している訳ではないが、仮に大田泰示を使っていたとしたら大田は石川の成績を上回っていたとは思えない。まだまだ大田泰示は2割そこそこ、年間通してもホームラン一桁台。そんなところでウロウロしているのだ。
日本ハム移籍後、故障してしまい2軍でくすぶっていたが、ようやく中田翔と共に1軍に合流。
早速移籍後初ホームランを放つと、気迫あふれるヘッドスライディングを見せてくれた。
巨人時代にもたまに披露してくれたあの迫力満点のヘッドスライディングだ。
でも、違うんだ。大田泰示ヘッドスライディングじゃないんだ。俺等が求めていた大田泰示の理想形はヘッドスライディングじゃないんだよ。
高校通算65本塁打という記録を残してドラフト1位で巨人に入団した大田泰示。松井秀喜の55番を託された大田泰示。そんな大田泰示の背中に追い求めていたのは押しも押されぬ巨人の4番。
和製大砲、右の大砲、そう今の現役なら西武ライオンズのおかわり君中村剛也。左ならDeNAの筒香嘉智。
もちろん理想形は落合博満、入団したての清原和博、左と右の違いはあれど松井秀喜。
そんな大砲の姿を君に追い求めていたんだ。
入団して数年が過ぎ、ファンは気付いていた。いくらなんでも大田泰示に無茶過ぎる期待を抱いている事を。でも目覚めない。いつまで経っても目覚めない。だからこそ夢を見続けていたんだ。
4番サード大田泰示。毎年大田泰示が打撃3部門のタイトル争いを繰り広げる姿を。
でももうみんな分かっている。大田泰示がどんな選手なのかを。大田泰示に覚醒という怪物的姿を追い求めるのはもうよそう。
格闘技界からもスカウトが来るほど人並み外れた身体能力を持つ大田泰示。大田泰示は過去に見たことがないような新スタイルの日本人外野手の姿を見せつけてくれるはずだ。
こんなもんじゃない。大田泰示はまだまだ北海道で爪痕を残してくれるはずだから。