ここ数年、アンタッチャブルだった野球のルールがいろいろと変わって来ている。
曖昧だったプレーに対するビデオ判定が導入されたり、本塁への突入による事故を防止するためにコリジョンルールが導入されたり。
国際化に向けた取り組みなのだろうか?伝統的な野球も時代の変化に合わせ変貌しつつある。
そんな中、メジャーで導入の議論が沸き起こっている敬遠はボールを投げずに宣言すればイイというルール。
これって導入されると今までの野球はどうなってしまうのだろうか?
敬遠宣言
敬遠によるドラマ
敬遠は今まで数多くのドラマを野球ファンに与えてきた。
敬遠のボールを打ってしまった例としては、阪神時代の新庄剛志が巨人の槙原からサヨナラ安打を放ったシーンが有名だ。
さらに長嶋茂雄は敬遠のボールをホームランしたこともある。
日本ハムファイターズ時代の柏原純一も敬遠のボールをスタンドへ叩き込んだ。
敬遠とは投手があなたには叶いませんと白旗を揚げている行為。
格闘技で言えば関節技をかけられてタップをしている相手の腕をさらに締め上げて骨まで折ってしまうような行為と同等だ。
敬遠のボールを打ってしまうのは紳士協定違反。だが伝説としては面白いっちゃ面白い。
敬遠にはその他にもドラマが有り、何と言っても有名なのは松井秀喜が甲子園で5連続敬遠をされたシーン。
お金を貰っているプロでもない高校生の大会なのに、5打席全ての打席で勝負を避けた采配は社会現象にもなった。
奇しくも松井秀喜は、この5打席連続敬遠で名声を高め、巨人の四番打者から伝統あるニューヨーク・ヤンキースの四番打者にまで登りつめるに至った。
また敬遠のもう一つの側面として日本プロ野球の伝統芸なのだろうか?シーズン終盤のタイトル争いのため、各球団で敬遠合戦が行われる事もある。
1982年、当時大洋の長崎と首位打者争いを繰り広げていた中日ドラゴンズの田尾は、大洋投手陣から徹底した敬遠策を取られ5打席連続敬遠されることになった。
最終打席田尾は抗議の意味も込めて敬遠のボールを空振りするほど後味の悪い争いになった。
1999年新人として20勝という衝撃デビューを果たした上原浩治は、ヤクルトとの消化試合で松井とホームラン王を争っていたペタジーニに対し、ベンチから敬遠の指示を受けた。
真っ向勝負が出来ない悔しさからか、上原浩治がマウンドで涙を流したシーンは今でも巨人ファンの語りぐさになっている。
その他にも長嶋茂雄が敬遠に抗議してバットを持たずに打席に立ったり、バットを逆さに構えたこともあったらしい。
一言で敬遠と言うだけでコレだけのドラマがある。
こんな野球に様々なエッセンスを与えてくれる敬遠を宣言だけで与えてしまうのはやっぱり味気ないだろう。
野球に興味ない人からすれば、ホームランだって入った瞬間ベースを回る必要ないじゃん!なんて意見もある。
でもそれも含めて野球だよ。やっぱり敬遠だろうがなんだろうがボールは投げた方がいい。
松井秀喜が全盛期の頃、松井を歩かせて清原和博勝負なんてシーンはよくあった。
高校時代あれだけ神的活躍を見せていた清原が、自分の前の打者を敬遠されるなんて!
ネクストバッターズサークルで松井に投じられた4球のボールを「テメー俺の前の打者を敬遠だと?ナメんのもいい加減にしろ!」
という怒りに満ちた思いで見つめたいた清原の顔は今でも忘れられない。
そんなやり取りが野球の醍醐味だよ。
オレは敬遠のボールを投げなくてもいいというルール改正にはやっぱり反対だ。