まさかの体調不良を公表し、クライマックスシリーズ初戦の先発回避が濃厚な巨人のエース菅野。
しかしDeNAのラミレス監督は、初戦の先発は菅野で来る可能性もある!と気を緩めない姿勢だ。
これはポストシーズンならではの駆け引き伝説の奇襲の再現なるのか?
伝説の奇襲
工藤幹夫
過去パ・リーグで前期後期の2シーズン制が行われていた時代の話。
前期優勝の西武と後期優勝の日本ハムとのプレーオフ。
当時20勝4敗という好成績を残した日本ハムの工藤幹夫は、自宅で指を挟んで指を小指を骨折するという失態を犯した。
これはプレーオフの登板は無理だろうと周囲に思われていたが、実はプレーオフ直前には投げられる程度には回復していたらしい。
そこで当時の日本ハム監督の大沢親分は、一世一代の縁起を決意。
工藤は絶対にプレーオフには投げられない。初戦の先発はあり得ないと報道陣に触れ回った。
工藤は腕に包帯を巻、痛々しい姿でグラウンドをランニングし、重症ぶりをアピールした
しかし裏では工藤の初戦先発に向けて着々と準備されていた。
そして運命の先発発表。日本ハム先発はまさかの工藤幹夫。
西武監督の広岡だけでなく、日本中が騙されてしまった世紀の奇襲劇。
だがこの奇襲劇が後々大きな裏目になることになる。
奇襲の是非
世紀の奇襲劇を敢行した日本ハムだったが、日本ハムの打線が沈黙してしまい、日本ハムは敗退してしまう。
それだけでなく、この奇襲劇はエース工藤に大きな負担をかけることになってしまった。
指を骨折後、まともにピッチング練習もしていない状態で、短期決戦で緊張感のみなぎる初戦にいきなり先発した工藤は、翌年肩の故障で戦線離脱。
その後投手として復帰することはなく、野手に転向するも日の目を見ること無く結局引退。
無茶な奇襲はエースを壊してしまうという最悪の結果を招くことになってしまった。
そして奇襲とは全く関係ないが、工藤幹夫は今年5月55歳という若さで永眠してしまった。
菅野の先発は?
まぁそんな昭和の時代のような奇襲をスマートな由伸監督が実行することは無いだろう。
目先の一勝よりもエース菅野の健康のほうが何倍も重要。
もちろん負けられない試合になれば、多少は無理をしてもらうこともあるだろうが、投球練習も出来ないような状態で、いきなり起用することなんてあり得ない。
大事な試合を前に体調を崩してしまったことは、エースの菅野が痛いほど感じていること。
今はとにかく三戦目にもつれたケースを想定して、その時に間に合うように調整すればイイ。
最悪ファーストステージに間に合わなかったら、それはそれでいいではないか。
付録のクライマックスシリーズにそこまで全精力を注ぐ必要もないだろう。