コロナウイルスで揺れに揺れた2020年日本プロ野球。
最後の決戦となる日本シリーズは、初戦・2戦目とソフトバンクのあざやかな連勝劇で始まった。
このまま昨年同様ソフトバンクが一気に押し切ってしまうのか?
巨人が意地を見せココから星を戻していくのか?
泣いても笑っても残すところ最大であと5試合。
最後に笑うのはどちらなのか?
2020年日本シリーズ
あの頃の絶望
「今年の日本シリーズ見に行かない?」
学生の頃、友人から声をかけられた。
野球好きではあったが、日本シリーズのような大舞台は一度も見たことがなかったオレは、二つ返事でうなずいた。
チケットを手に入れるために、徹夜で東京ドームに並び、覚えたてのタバコを吹かしながら、寒い夜空ひたすらチケットの販売を待ち続けた。
やっとの思いで手に入れたチケットを握りしめ、「コレだけ苦労してチケット取ったんだから巨人にスカッと快勝してほしいよなぁ」などと希望的観測を友人と語り合いながら、東京ドームへ向かった。
対戦相手は、巨人にとって因縁の西武ライオンズ。
巨人の先発は後にパーフェクトを達成する槇原、西武の先発はナベQこと渡辺久信で幕を切った。
初回、槇原は150キロ近いストレートを連発するが、苦手な立ち上がりを捉えられツーアウトから1、3塁のピンチを招いてしまう。
迎えるバッターは、キューバの怪人オレステス・デストラーデ。
まさかいきなり初回から打たれたりしないよなぁ・・・
そんな淡い期待を無残にも打ち砕いたデストラーデの打球は、音速でライトスタンドへ消えていった。
なんだあの打球?ホントに人間の打球か?
コレまで生で球場でみたホームランの中で、最も衝撃を受けたホームランはこのデストラーデの打球だった。
初回にいきなり大きすぎる先制パンチを浴びた巨人は、渡辺のキレのあるピッチングに手も足も出ず、アッサリと完封負けを喫してしまう。
おいおいデストラーデやば過ぎじゃね?
さらにここに加えて清原も秋山もいるんだぜ。
大技だけじゃなく小技もできるしピッチャーも粒ぞろい。
こんなチームに勝てるわけねーじゃん。
巨人ファンの悪い予感は的中し、1990年の日本シリーズは西武ライオンズに爪痕すら残すことが出来ず4連敗で幕を閉じてしまった。
当時の藤田監督は、このシリーズを振り返り「相撲なら立ち上がった途端、土俵の外まで吹き飛ばされてしまった」と語っている。
2020年の日本シリーズは、残念ながらこの時の悪夢と完全にかぶってしまっているのだ。
逆転どころかせめて1勝
ソフトバンクとジャイアンツ。
パ・リーグとセ・リーグ。
ここまでの差がついてしまうのか?
もう勘弁してくれ。これ以上みじめな思いをさせないでくれ。
お願いだから本気をださないでくれ。
そうすがりついてしまうほど、圧倒的な力の差を見せつけられ、ボコボコにタコ殴りされている。
もはや、ここから4勝して逆転日本一なんてシナリオは一切見えることなく「せめて1勝でもいいから・・・」なんて日本シリーズではあるまじき考えまで巨人ファンに心にチラついてしまっている。
投手陣は寄ってたかってかかっていっても、いとも簡単に打ち返される。
打撃陣は粘って粘ってチャンスを作っても、最後の最後で逃げ切られてしまう。
点は取られるのに点を取れる気配がない。
もはや、勝てる気がしない。
1990年の日本シリーズくらい、いま絶望感に打ちひしがれている。
でも・・・
巨人ファンが最初に諦めちゃダメじゃないか!!
坂本も丸も岡本も菅野も亀井も、そして原監督も、当事者たちが一番今の現状に苦しんでいるはずだ。
なんとかソフトバンクの牙城を崩さなければならない。
1ミリの隙間から城壁をぶち壊さなければならない。
まだ、日本シリーズは終わったわけではない。
もしかしたらサンチェスが今年一番のピッチングをしてソフトバンク打線を抑え込んでくれるかもしれない。
今年覚醒し始めた畠が無双状態の栗原を4タコに抑え込んでくれるかもしれない。
まだまだ試合は残っている。
巨人の奇跡の大逆転を夢見ながら第3戦の惨劇・・・いやいや快勝劇をオレは願っている。