ぶっち切りの7打差で最終日を迎えたヒーローワールドチャレンジは、後半スコアを崩したがリードを守りきり松山英樹が見事優勝した。
これで10月の日本オープン、世界ゴルフ選手権HSBCチャンピオンズ、三井住友VISA太平洋マスターズに続く4勝目。
その間に挟まれたCIMBクラシックは2位。
絶好調を通り過ぎ神がかり的な強さを誇っている。現在世界で最も強い男なのは間違いない。
タイガーと松山
タイガー・ウッズ
大会のホストを務めたタイガー・ウッズは、表彰式で優勝した松山英樹とガッチリと握手を交わし、賞賛の声を送った。
「われわれが長期間に渡って必ず倒さなければならない選手になるだろう」
照れながらハニカム松山の笑顔は、一昔前ハニカミ王子と呼ばれた石川遼を彷彿とさせる姿だった。
無理もない。松山英樹の世代にとってはタイガー・ウッズはまさに神のような存在。
他を圧倒する驚異的な飛距離。
シャフトが折れんばかりのダウンブローで打ち込まれるアイアンショット。
多種多様なクラブを使い分け、状況に応じた巧みなテクニックでカップに寄せるアプローチ。
勝負どころで必ず決めてくる執念のパット。
身にまとったオーラは、世界ランキング1位を明け渡した今も全く衰えない。
そんなタイガーが自分を認めてくれた。対戦相手むしろライバルだと評価してくれたのであれば、感動しない選手などいない。
メジャーまで調子は持つのか?
しかし驚くべき強さ。5戦4勝で2位が1回。
競馬の皐月賞で一番人気になるような馬の成績かと思うほどの安定感と破壊力。
このままの調子を維持できれば、間違いなく世界ランキングは1位になるだろうし、メジャーだってもう目の前。
だけどそう上手く行かないのもゴルフ。
トッププロでも4日間調子を維持し続けるのは相当難しいと聞く。
初日に8アンダーや9アンダーが出たら、そのまま30アンダー以上出るんじゃないか?と思われるが、実際に初日爆発した選手がそのまま逃げ切るケースはかなり少ない。
ゴルフ場には微妙な傾斜や天候など、様々な要素がある。
毎日何千球と打ち続けているトッププロでもラウンドを重ねるうちに微妙にスイングが崩れ、気がついたら大きく崩れてしまう。
スイングだけでなくパッティングのフィーリングも水モノ。せっかく掴んだ好感触も、ふと瞬間に流れ落ちてしまう。
通算28勝を上げている片山晋呉がしょっちゅうパターやパッティングのフォームを変更するのはそのせいだろう。
それを修正するために数週間から長い時は数ヶ月の期間を要す。
だからトッププロでも年間20試合以上出場しても勝てるのはせいぜい4~5試合くらい。
それがもう2ヶ月も好調を維持している。この調子はなかなか崩れないんじゃないだろうか?
来年一発目最初のメジャートーナメントは4月のマスターズ。
ここまでに今のピークを保ち続けるのか?いやもっと上のピークが訪れるのか?
日本のファンからすれば、来週にでもマスターズを開催して欲しいところだ。