なぜ代走の神鈴木尚広が大事な場面で牽制死してしまったのか


同点で迎えた9回裏。先頭の村田が左足の痛みをこらえながら必死の激走で内野安打を勝ち取った。

ノーアウト1塁。1点取ればサヨナラ、ファーストステージ突破が決まる。

この場面、巨人には絶対的ジョーカーが控えている。もちろん代走の神鈴木尚広だ。

今シーズン盗塁成功率の100%を誇る神鈴木尚広という最終カードを切った以上、このまま勝ち切るシーンを信じた巨人ファンだったが、数分後悪夢を見ることになるとは?

あのシーン、鈴木尚広はなぜ牽制で刺されてしまったのか?

神鈴木尚広の牽制死の理由

リードが大きい

鈴木尚広は元々リードは大きい。

しかし抜群の身体能力と反射神経、さらに経験と洞察力が重なりほとんど牽制で刺されることはない。

リードが大きくても手から戻るシーンはほとんどなく、牽制が来ても楽々と足から戻ってしまう。

昨日のシーンもそうだった。

1球目の牽制の際は楽に足から戻っていた。

しかも本拠地東京ドームのため、普段よりリードが広がることは考え難い。

なのでリードの大きさは普段通り、全く変わらなかっただろう。

左投手

鈴木尚広を指したのはDeNAの左腕田中健二朗。

右足を外側に開いてガニ股に構えるような変則的なフォーム。

左腕との対戦は百戦錬磨の鈴木だが、どうもこの変則フォームのクセは掴めていなかったようだ。

事実初球牽制を入れずホームに投げているのに鈴木は帰塁するような仕草を見せた。

作戦

初球帰塁する素振りを見せた動きをDeNAベンチは見逃さなかった。

光山バッテリーコーチは鈴木の姿を見て、すかさず2球連続での牽制を提案したらしい。

1球目は楽々と戻った鈴木だったが、少し間を開けて放たれた牽制球に、一瞬スタートを切りかけた鈴木は反応しきれなかった。

完全にDeNAベンチの作戦にハマった形となってしまった。

プレッシャー

もちろんベンチワークもあるのだろうが、点を取れない巨人打線のプレッシャーがキツすぎたのだろう。

ノーアウト1塁とはいえ、後続の阿部、長野が凡退したら後がない。

阿部が凡退しても長野の場面で走ればイイという余裕は、一切なかったのではないか?

少しでもヒットを打てる可能性がある選手のシチュエーションで走らなければいけない。

となれば阿部の打席で是が非でもスコアリングポジションに行く必要がある。

でなければ得点のチャンスは大きく縮小してしまう。

そんな思いが神の足を鈍らせてしまったのかもしれない。

しかしあの牽制死は決して走塁ミスではない。

何とかしてちーむを勝たせたいと思った鈴木の気持ちと責任感が強すぎたための結果だろう。

チームの打撃力の弱さとDeNAのベンチワークが招いたプレイだ。

神鈴木尚広を誰も攻めることは出来ない。