特別な年となった2020年。
苦しみながらもジャイアンツがセ・リーグ2連覇を達成した。
まずは、選手の皆様、監督・コーチ・スタッフの皆様、巨人ファンの皆様、本当におめでとうございます!
激動の2020年ジャイアンツ優勝への軌跡を振り返りってみる。
2020年ジャイアンツ優勝
オープン戦最下位
もうみんな忘れているかもしれない。
2020年のオープン戦、巨人は12球団で最下位だったことをw
ゲーム開始前の恒例の円陣、若き4番岡本が「まぁ勝敗は気にせず・・」とつぶやくと、すかさず元木ヘッドが「気にせーや!」と突っ込むほど巨人は勝ちから遠ざかっていた。
その最大の要因はサンチェスだった。
今年巨人にとって一番の不安要素はドスコイ山口の抜けた穴。
2019年、15勝4敗とエース級の活躍を見せてくれたドスコイだったが、巨人在籍わずか3年(しかも満足な成績を残せたのは1年だけ)でMLBへと旅立ってしまった。
15勝投手の穴を埋める大役を背負わせるには、さすがに2年目若干20歳の戸郷には重すぎる。
そこで巨人が目をつけたのが、エンジェル・サンチェスだった。
ドミニカ出身のサンチェスは、2019年韓国リーグで17勝という素晴らしい成績を治めていた。
韓国リーグの実績は、高確率でNPBでも活きるはず。
これでドスコイの穴は問題ない・・・はずだったのだが、鳴り物入りでやってきたサンチェスがオープン戦で火だるまとなる。
サンチェス曰く「日本のボールは滑る」んだそうだが、日本から数多くの投手がMLBの舞台を踏んでいるが、MLBのボールが滑るという意見は多数あれど、NPBのボールが滑るという話は聞いたことがない。
こりゃ、久しぶりにミセリ級のハズレ外人引いちゃったのか?と巨人ファンをやきもきさせたオープン戦だった。
コロナで開幕延期
そんな絶不調のオープン戦をスッカリ過去のモノにさせてくれたのが、皮肉にも世界中にパンデミックを巻き起こした新型コロナウイルスだった。
中国武漢で発生したと見られる新型のコロナウイルスは、瞬く間にアジアから世界へと拡散し、未曽有の被害をもたらした。
3月頃から日本の感染者も拡大が始まり、ついに4月7日戦後初めて緊急事態宣言が発令された。
東京オリンピックは早々と中止になり、当然のことながらこんな状況で野球なんてやってる場合ではない。
プロ野球の開幕延期も発表され、プロ野球選手もプロ野球ファンも、今はとにかく自宅で過ごすしかなかった。
「もしかしたら今年プロ野球は開催されないのかもしれない」
そんな不安を抱えた中、プロ野球は6月から無観客でひっそりとスタートを切った。
序盤の快進撃を支えたヒーロー
無観客で行われた開幕カードの阪神戦、吉川尚輝の逆転2ランで見事に快勝し、その勢いのまま巨人は開幕3連勝というこれ以上ないスタートダッシュに成功する。
菅野は負けない、戸郷も覚醒、サンチェスはまぁまぁ、メルセデスは戻ってくる、気が付けば巨人投手陣は盤石になっていく。
そんな中、スタートダッシュの波に乗り切れなかったのは巨人の枢軸「坂・丸・岡」の坂・丸だった。
当初は2番坂本、3番丸、4番岡本で始まった打線だが、一人気を吐く岡本の前でブツブツと切れてしまう打線にさすがに我慢の限界を迎え「坂・丸・岡」が解体される。
坂本・丸と主砲2人が不調でもなぜか負けない今年の巨人。
そのキーマンとなったのは、なんといっても増田大輝だろう。
一度は野球を辞め、とび職に付きながらも野球の夢を断ち切れずに独立リーグへ。
育成ドラフトから這い上がった苦労人は、卓越した野球センスで巨人というスター集団で個性的な輝きを放ってくれた。
前半戦のクライマックスは、7月19日の対DeNA。
9回表二死ランナー二塁、打席にはイマイチ調子の上がらない3番丸、マウンドにはDeNAの守護神山崎康晃。
絶体絶命の状況の中、丸の打球は1、2塁間に転がっていく。
セカンド柴田が横っ飛びでボールをキャッチ。
するとあろうことか、セカンドランナーの増田は内野ゴロだというのに猛然とホームへ突入していた。
起き上がり様、すかさずホームへと返球するが間一髪増田の左手がホームベースをかすめていた。
まさかまさかの同点劇。内野安打でセカンドから返ってきたシーンは生まれて初めて見た気がする。
するとラミレス監督は何を血迷ったから守護神山崎から国吉へとスイッチ。
心の準備が出来ていなかった国吉の直球を若大将岡本和真がいとも簡単に粉砕し巨人は鮮やかな逆転勝利を飾った。
楽天からの贈り物
しかし、シーズン中盤を待たず巨人の先発ローテーションは砂の城のごとくアッサリと崩れてしまった。
完全復活した菅野、絶賛覚醒中の戸郷以外、誰一人ローテーションを守ろうとしない。
- 故障で離脱するメルセデス
- 先発になるとストレートが130キロ台になってしまう田口
- 好不調の波が激しすぎるサンチェス
- いつになっても咲きほこらない桜井
- たまにバッティング投手のようになる今村
当然ながら昨年同様リリーフ陣に負担がかかる中、楽天からとてつもない贈り物が届いた。
シーズン影のMVP高梨雄平だ。
オシャレでイケメンで料理好きのYouTuberという触れ込みで巨人にやってきた変則左腕は、まさに水を得たフィッシュのごとき圧倒的な活躍を見せる。
一時は表勝ちパターン中川・デラロサ、裏勝ちパターン大竹・高梨という勝ちパターンを2種類作れるほどの安定感だった。
さらに追加で楽天からウィーラーという最高のオモチャがプレゼントされる。
内野も外野もどこでも守れる便利なユーティリティ外国人。
そして底抜けに明るい性格は、巨人のムードメーカーとなってくれた。
最高の楽天ポイントを受けとった巨人は、夏場以降怒涛の快進撃を続け、一時は負ける気せんわ!と思わせるほど最強チームに仕上がっていた。
難産の10月
快進撃を続ける巨人は9月15日、早々にマジック38を点灯させた。
このまま今年は楽々逃げ切りかなぁ・・・と思われたが、さすがにそこまで甘くはない。
思いもよらぬ死の10月が待ち受けていた。
チーム状態が悪くなると打線のつながりが一気に悪くなる。
序盤戦調子の悪かった坂本・丸が上がってきたが、逆に調子を落とす4番岡本。
ウィーラーも当たりが止まり、強打のキャッチャー大城もパッタリと打てなくなってしまった。
吉川も松原も頑張ってはいるのだが、全員が全員2割7分くらいのドングリ打線。
こんな時こそ亀様がいてくれれば・・・と思うと亀井様が戦線離脱。
さらに亀井様も痛いが、もっと痛いのは死神中川皓太の離脱だ。
どんな時でもアッサリと3人で片づけてくれる中川は、チームに勢いをもたらす存在だった。
リリーフの柱を失った巨人中継ぎ陣は、次第に我慢ができなくなってくる。
頼みの高梨も打たれるシーンが目立ち、デラロサの安定感もなくなっていった。
打線が冴えない、先発が我慢しきれなくなる、中継ぎも歯止めが利かない・・・
昨年のシーズン終盤と同じような状況になった巨人のマジックは、一桁から減る気配すらなくなってしまった。
気が付けば熾烈な首位争いを繰り広げていたはずだったパ・リーグのソフトバンクが、一足お先に優勝を決めていた。
だが、巨人に焦りの色は見られなかった。
さすが夏場に広げた差がデカすぎたからだ。
シーズン終盤ガス欠になってしまったが、巨人は何とか2連覇を達成することに成功した。
今年は特別な年。
各球団ケガ人も多くコンディション維持も大変だったとは思う。
優勝してもビールかけもできない、この特別な年に優勝した巨人というチームに敬意を表します。
この後日本シリーズが待ってはいるが、しばらくはセ・リーグ優勝の余韻に浸ってもいいはずだ。
おめでとう!そしてありがとう!ジャイアンツ!